2. 心理テストに関して(類型論、特性論、性格特性、行動特性)
心理テスト(心の測り方)類型論と特性論
パーソナリティとは、「個人の感情、思考、行動の一貫したパターンを説明するその人の諸特徴である」(心理学用語集)パーソナリティはラテン語の「ペルソナ(仮面)」に由来しており個人の社会的な役割や外見的な自分を言う意味も含まれます。気質(temperament)とは生まれてすぐ現れ、ある程度の期間持続する行動の個人差であるとされ遺伝的な要因が大きいとされます。
パーソナリティ研究の歴史は長いが用語の厳密な区別をせずに統一的に「パーソナリティ、あるいは、人格」という用語を用いることが多い。パーソナリティの理論として代表的なものに性格類型論と性格特性論が挙げられる。
心理テストとはその人がどんな人なのかを知りたいと思って作成されたものであり、心という見えないものを集団との類型的な比較で測ろうとする
類型論と心理的な特性(一つの塊や一連の傾向)で測ろうとする特性論があります。
類型論 : 人間の性格を「一定の原理に基づき典型的な行動や心的特性を設定した類型に分類することでその全体像を捉えようとする」考え方
特性論 : 人間の性格を「心理的特性の構成とその量的差異によって表す」という考え方
類型論
長所 | 性格の直観的・全体的な把握が可能である 大まかな、個人の社会への適応法や態度、傾向がわかる |
短所 | 類型に当てはまらない部分を見逃したり、固定化する中間型や混合型がいるため、その分類が困難 |
代表的な 理論 |
1. クレッチマー性格類型理論 2. シェルドン性格類型理論 3. シュナイダーの精神病類型 4. ユングの向性論・タイプ論など |
特性論
長所 | 個人別の特性が理解しやすい 中間型なども理解可能で、画一的でない |
短所 | 細かすぎるため、全体的な把握ができない、傾向がわからない 性格という概念が曖昧なため、流派によって解釈が異なる |
代表的な 理論 |
1. オルポート性格理論 2. アイゼンク性格理論 3. キャッテル性格理論 4. ビックファイブ理論 5. Cloningerの7次元モデルなど |
心理テスト 「行動特性と特性特性」
類型論では大まかな類型に個人を当てはめて分類するだけなので集団の比較には向いているが個々の分析には向いていません。また分類に当てはまらない中間型や混合型への対応が出来ません。それに対して特性論は個人の特性を単位として測定しようとしているので集団ではなく個々人の分析が可能になります。
但し、性格というのは構成概念であり客観的に見えるものではありません。見えないもの(心)を見えないもの(性格)では測れません。心という見えないものを行動という見えるもので測る方法が行動特性診断の方法です。距離という見えない概念をメートルとかセンチで測り、時間という見えないものを秒(セシウム原子時計クオンツ)で測っています。見えるもので測るからこそその測定値が共通の尺度となり客観的な議論が出来ます。
性格特性とかロールシャッハとかは見えないものを見えないもので測っているため人によって(研究者によって)解釈が異なってしまいます。
また、性格は『生涯にわたって殆ど変化せず固定的である』という理論に基づいて作成されていますから2回目、3回目と何度受けても測定値が変化しないテストほど質が高いと言われますが、行動特性診断テストの測定対象は行動であり人間の行動は変化しますから、その変化を測定できることが大きな特徴になります。
行動特性診断テストでは「能力の向上(学習)とは習慣化された行動特性の変化」と定義しており、行動特性や能力の変化を測定し、その変化値と成果(目標達成度)との相関関係の数値を分析することにより学習効果の見える化をおこなっています。
性格特性診断
測定対象 | 人物(パーソナリティ)プロフィール、感情や考え方の予測 |
論点 | (殆ど変化しない)性格を測定 抽象概念(見えない心)を性格という抽象的な構成概念で測定 |
生じている 問題点 |
・性格という構成概念の解釈により多くの流派が存在 ・性格と現実に出現する行動は異なり、また、性格と能力は相関がないため能力向上に使用できない |
行動特性診断
測定対象 | 現実に現れる行動を測定、能力(コンピテンシー)の予測 |
論点 | 変化する行動を測定 心という抽象的な構成概念を具体的な目に見える尺度で測定 |
メリット | ・測定データ(行動特性データ)が客観的であり学際的な研究が可能 ・能力(コンピテンシー)は行動の組合せで発揮されるため行動特性の変化の測定により能力の変化が測定できる |